gt0203 ジャズのグルーヴ感とノーリズム感(July 28, 2010)
ジャズのグルーヴ感とノーリズム感・・・ギターに初めて触ってからもう50年に近くなり、ジャズにも相当年数接してきて、少し感じていることがあります。
ジャズはアドリブが命、色々なスケールやコードワーク、テンションノート・・・etc.、ギターに限らず全ての楽器においてジャズを演奏しようとするときに立ちはだかる壁ですね。ギターに限って言えば、ソロまたは伴奏に専念できる二人以上のバンドで演奏する場合に比べて、ソロギターは格段に難しくなると思います。特にガットギターでのソロは、難しさで言えば恐らく最高難度でしょう。
市販のアレンジ譜を弾きこなせるということと、ジャズを演奏できるということとは全く異なります。
上記のように一般的に言われているようなことはその通りですが、私が感じてきたジャズの一番の難しさはリズムです。ビッグバンドでの単調な4ビートのリズムがいかに難しいか、2005年の第50回で終了した日本産業音楽祭に参加した18年間、プロの先生方の一言のコメントに毎年々々悩まされ続けました。
4ビートをいかに刻むべきか・・・現在どのくらいできるようになったか自分では分かりませんが、スイング感、グルーヴ感は十人十色で、結局自分自身のフィーリングに尽きるというところに考え至りました。
昔の人の演奏をCDなどで聴いて、私がしびれるのはアドリブソロの部分は勿論ですが、まずは最初に演奏される曲のテーマ部分のグルーヴ感です。正確な4ビートのリズムが根底にあり、シンコペーション、裏打ち、リズムの変化、後のり、ため・・・などなど・・・結局ひっくるめてグルーヴ感なのでしょうか。テーマ部分でこのグルーヴを感じなければ、アドリブソロなど聴く気にもなれません。
馬鹿にされる方が居るかもしれませんが、演歌の”ため”と共通するものを感じます。ニューオリンズで発祥したと言われるジャズに相当するのは、日本では演歌なのですから・・・。あなどるなかれ、演歌の”ため”はアマチュアではなかなかできません・・・いや、感じとれません。できないということを体感されている方は、音楽への造詣が相当に深いと思います。
最近感じている、もっと難しいことはノーリズムでの演奏です。ノーリズムなのだから自由に演奏すれば?正にその通りなのですが・・・。ジョー・パスが珍しくガットギターを弾いている「アンフォーゲッタブル」というCDがあります。全編ジョー・パスのソロで、素晴らしいノーリズムの演奏を聴くことができます。最初はノーリズムでテーマが始まり、そのうちリズムにのった演奏に変化する曲もあります。
リズムにのった、グルーヴ感あふれる演奏部分は勿論素晴らしいのですが、私はジョー・パスのノーリズム感にしびれています。ノーリズムの部分は恐らく誰も真似できません。グルーヴ感と同じように、ノーリズム感も十人十色なのです。
磁石の極のように素晴らしいグルーヴ感あっての対極のノーリズム感ですが、グルーヴ感よりもはるかに難しい音楽表現の世界なのではないかと感じています。
難しいテーマを与えられて白いキャンバスに向かうよりも、何でも良いから描けと言われる方が遥かに難しいのです。
前の記事へ
ギタートツプに戻る
次の記事へ