gt0048 ギター演奏における脱力運動について、続きの続き(November 17, 2005)
ライブ中に指がつったのをきっかけにインターネットを色々と調べ、「クラシックギター by **」というアマチュアのクラシックギタリストのホームページを見つけたことは既に紹介しました。
ギターの教則本では、左手の指を指板に垂直にして弦を押さえるのが基本と教えていますが、これは間違っているというのです。コップを持つとき、指先を立ててコップ表面に当てたり、親指でギュット押さえたりはしません。左手でのギターのネックの持ち方は、コップを持つような自然な形であるべきで、そうすると余分な力は入らないということです。
脱力運動というのは、我々の日常生活で無意識のうちにしていることであって、ギターを弾くからといって特別に構えると余分な力が入ってしまうということで、少し練習を始めてみました。
今までは小指で弦を押さえるときは、親指でネックの裏をガシッと固める感じだった思いますが、意識的に力を入れないようにしていると、小指も良く伸びるようです。ライブでも何となく力を抜いて演奏できるようになったかなと感じます。
クラシックギターに関する記事をインターネットで調べていると、**さんの「脱力運動」に関して色々なところで論争が起きています。その評価は真っ二つに分かれています。
一方はアマチュアながら良く研究しているという、好意的な評価です。プロのギタリストからも賞賛を受けているようです。他方は自分勝手な考え方を押し付けるなという否定的な評価です。現在ホームページのアクセス数が12万5000目前で、いずれにしてもかなりの注目度です。
**さんは自分の演奏をホームページに掲載しており、自分の言動に責任をとっている訳で、そういう意味では口先だけの評論家よりははるかに立派です。
幾つか聞いてみましたが、ギターは100万円以上の良いものを使っているようで、さすがに良い響きが出ています。演奏についても好意的な評価が多いのです。しかしあれっ!!演奏途中でかなり弦がびびっているように感じます。弦の押さえ方が弱いのか・・・。案の定ごく少数意見ですが、私と同じように感じて、弦がびびるのは押さえ方がまずいからで演奏は全く下手糞と酷評している人も居ます。
自分のことは棚に上げているのですが、私の場合1曲通して一度も弦がびびらずに演奏することは不可能です。録音してじっくり聞かれたらたまったものではありません。ライブ演奏は一過性なので、少々の失敗はどうということはありません。
**さんはQ&Aコーナの回答役で良く意見を述べており、従来の常識の嘘として具体的な演奏法を示しているのですが、多くの反対意見があります。自論に絶対的な自信を持っており断定的な表現を使うことも反対派の反感を買っている一つの理由になっているようです。
クラシックギター演奏法の細かい部分は私にも良く分らないので、**さんが推奨する脱力運動に限定して反対派の意見も加味して賛成派の好意的な意見を集約すると、次のようになると思います。
「脱力運動と表現するかどうかはともかく、ギターを演奏するときに余計な力を入れないのは当然で昔からやっていること。具体的な方法はともかく、これを掘り下げた努力に敬意を表する。」
色々な分野で同じような状況がありますね。新しい意見には反論がつきもので、そんなもの新しくもなんともないという意見も必ずあります。日本人同士の議論にはつい感情が入ってしまいますが、昔米国で論文発表したとき、敵味方?に関わらず良いものは良いと評価する態度に接し、感激したことを思い出します。
一つの事象には色々な見方があり、個人の考えを他人に押し付けることは一般には好ましくないでしょう。物理現象の法則は唯一無二であっても、それを理解して自分のものにする具体的方法は個人の数だけあるに違いありません。
**さんの理論を盲信するのではなく、「脱力運動」とは何か、その根本を自分なりに考えることが必要だと感じています。
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