gt0026 「美空ひばり」永遠のエンターテイナー(June 3, 2005)
日本人なら「美空ひばり」を知らない方はいませんね。
最近また話題になって、美空ひばりのジャズの復刻版なども出ているようです。美空ひばりがジャズ・・・・と意外に思う方が多いと思います。
くまさんに聞いた話ですが、大変感銘を受け今でも良く想いだしますので記録しておくことにしました。
かなり前のことだと思いますが、日本のジャズを世界に売り出そうと、あるプロデューサーが日本のジャズ歌手のテープを携えてヨーロッパを訪問したそうです。レコード会社の関係者に持参したテープを聞かせるのですが、あまり興味がないようです。最後に聞かせたのが美空ひばりが歌うジャズだそうです。
おお、これは素晴らしいと、向こうの方は興味を示しました。この歌手が一番良いということです。次に美空ひばりの日本の歌、演歌かどうかは知りません、を聞かせたところ、こちらの方がもっと良いということだったということです。
美空ひばりが良いのか、日本の歌が良いのか、恐らくその両方だと思います。向こうの人が日本の歌を知っている訳はなく、音楽、広くいえば芸術に国境はないということでしょうか。
きざな言い方をすれば、音楽には2種類ある、良い音楽と悪い音楽と、ということでしょうか。何が良くて何が悪いかは人それぞれでしょう。
木村好夫という演歌ギタリストがいます。クラシックギターで演歌をやらせれば日本一で、CDなど多数発売されています。
この木村好夫さんは若い頃はジャズギター志向で、米国に勉強しに出かけたそうです。「おまえは日本人だろう、どうして日本の音楽をやらないのか?」と向こうの人に言われたとのことです。
その後の経過は知りませんが、現在は全く畑違いとも言える演歌ギタリストです。木村好夫さんのクラシックギターによる演歌のソロには、誰もが認める日本人の心が入っています。
私は感じるのですが、木村好夫さんが今ジャズのスローバラードを弾いたら、それはそれは素晴らしい演奏になるに違いありません。ただし決して聞くことはできないと思いますが。
ごく一部の天才的なプレーヤーを除いて、日本人がジャズを演奏するのは無理だと思います。逆にアメリカの人には日本の演歌はとても演奏できないでしょう。
スペインで生まれ育たないと決して本当のフラメンコは演奏できないと、日本のフラメンコギタリスト自身が自戒を込めて言っています。
私自身も演歌のような日本の曲であれば、初めての曲でも何となく感じをつかめます。ところがジャズをやろうとすると、初めての曲どころか良く知っている曲であっても感じをつかむのは極めて難しいと感じます。
美空ひばりの場合はごくまれな例だと思いますが、日本の心を演奏できる域に達した日本人の音楽家は、外国の音楽も抵抗無く演奏できるのではという気がしています。
美空ひばりはジャンルや国境をも超えた永遠のエンターテイナーなのです。
まだまだやること(できないこと!)がいっぱいあって楽しい(苦しい?)です。
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