sk0021 上野アメ横の「にしき」(January 26, 2006)
研究所や工場の設計部に勤務していた頃は、良く東京に出張に行っていました。帰りは常磐線なので、必然的に上野で電車待ちの時間をつぶすことになります。アメ横のあたりをぶらぶらとするのですが、路上に椅子を並べた飲み屋が沢山あります。
アメ横に入ってすぐ左に曲がったところに「にしき」というお店があります。決して綺麗とは言えないお店の中は無造作にテーブルと丸椅子が並べられています。開けっ放しのお店の入り口の道路は使い古しの冷蔵庫の上に板を置いただけの、簡易立ち飲み席です。
他のお店も似たようなもので、開けっぴろげのお店の内外の椅子は、いつ行ってもお客がたむろしています。日立市では絶対に流行らないと思うのですが、本当に東京は人が多いと思います。立派な紳士が平然と思い思いに酒を飲んでいます。
何年も前のことですが、何となく「にしき」が気になって入ってみました。私が好みの刺身類が手ごろな値段で豊富にあります。店の中よりも外の立ち飲み席の方がなぜか気に入って、それから出張帰りの電車時間待ちに度々利用するようになりました。
他のお客さんの注文するものを見ながら、いつしか私の注文も固定してきました。最初は「たこぶつ」と「まぐろぶつ」です、ぶつぎりのさしみが小さいお皿に少量出て来ます。慣れてくると、「ぶつぶつ」と言うと、「たこぶつ」と「まぐろぶつ」出て来ます。とりたてておいしいということはないのですが、何しろ安いのです。
特に気に入ったのが、「ぶりのあら煮」です。ぶりのぶつ切りと大根を煮込んだものです。ぶりは勿論ですが、たっぷりと煮汁を吸い込んでこげ茶色に変色した大根が絶妙な味です。
最初はビールを飲んでいたのですが、そのうちに大徳利の酒を注文するようになりました。コップ酒と断らない限り、「冷や」または「熱燗」と言うと、この大徳利が出て来ます。普通のコップの半分くらいの大きさのグラスに注いで飲むのですが、幾ら注いでも大徳利の酒は無くならないのです。2合以上は入っていると思っているのですが、特に確認はしたことはありませんでした。
最近は出張もほとんどなく、ご無沙汰していたのですが、先日久しぶりの出張帰りに「にしき」に寄ってみました。以前と同じに、「熱燗、ぶつぶつ、あら煮!」と注文も慣れた口調です。「ぶつぶつ」は以前の通りです。「あら煮」を食べたところ、「やや、まずい!」。煮汁がたっぷりと染みて、こげ茶色に変色している外観は以前と変わらないのですが、煮汁の味がまるで違います。なぜなのか分りませんが、特にお店の人に聞く気もせず、酒のつまみになんとか平らげました。変わっていないようで、少しづつ何か変わっているのですね。
大徳利はやはりたっぷりと入っているのです。飲みながら数えてみたところ、グラスに6杯ほど注げました。帰りに聞いてみたら、3合入っているということです。道理で待ち時間がかなりあっても、大徳利1本で間に合うはずです。
今度行ったときは、「あら煮」ではないものを注文しようと考えながら電車の中で週刊誌を読んでいると、うとうととしてきます。あぶない!!常陸多賀はもうすぐです。
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