gt0230 ガットギターソロについて(October 27, 2011)
ジャズのビッグバンドのギターは、カウントベイシー楽団のフレディー・グリーンが神様的存在です。ソロは一切とらず、生ギターで淡々と4ビートを刻む姿は崇高とも言えます。1弦0.014~のぶっとい弦で、12フレット弦高7~10mmでは、単音のソロをとる気にはなりません。現在はフルアコでも細い弦、低い弦高で弾きやすくセットするのが普通であり、ミスター・リズムで満足しているギター弾きは恐らく居ないでしょう。私もご多分に漏れず、還暦を期にもう良いかとガットギターでのソロギターライブを始めてもう7年くらい経ちますが、現在営業活動はちょっと休止状態です。
ところでクラシックギターの世界では、「ギターは小さなオーケストラである」とか、「ギターは遠くで鳴っているオーケストラである」とか言われています。確かにリズム、メロディー、ハーモニーの音楽の3要素を同時に演奏することができる素晴らしい楽器です。しかしオールラウンド楽器の王様はピアノです。
ではギターで弾くと素晴らしい楽譜をピアノで弾くとどうなるか・・・?恐らく完璧に弾きこなせるでしょう。しかし全くつまらない曲になるでしょう。オカリナで吹くと素晴らしい単音のメロディーをギターで弾くと・・・弾く方も聴く方もあくびが出てくるでしょう。そう、それぞれの楽器にはそれなりの特徴があり、他の楽器では絶対に表現できない味があるのです。
クラシックギターを弾く人は、一般に速弾きが苦手のようです。「速く弾くよりも感動を与える演奏をしたい・・・」ということも良く聞きますが、ジャズをやってきた経験からすると、ちょっと違うのではという感じを持っています。
ジャズの世界では私が逆立ちしても追っつけない超アップテンポの曲が多くあり、それこそ超絶技巧のアドリブソロがもてはやされる傾向があります。反面、スローの素晴らしい曲も数多くあります。一般にスローの曲を演奏するのは、アップテンポの曲を演奏するよりも難しいと言われています。例えば間を持たせるために、時々は細かい音符を詰めたくなります。そのときに、速く弾く演奏技術を持っていないと、表現したくてもできないのです。
従って、どんな楽器にしろスピードトレーニングは必要と思います。アップテンポの曲はテクニックだけでそれなりの音楽になりますが、スローの曲はテクニックと感性が重要になってきます。これホント、50年の経験です。つまり、感動を与える演奏をするためには、ある程度速く弾ける技術が必要なのです。決して速く弾く必要はないのですが、感性だけでは音楽にはなりません。従って、上記の「速く弾くよりも・・・」の真意は「(速く弾くことはできるが、)速く弾くよりも・・・」でなければなりません。速く弾けないことの言い訳だとすると・・・感動を与える演奏ができるかどうかも疑問ですね。耳の痛い人が居たらごめんなさい。
私も特に指弾きのガットギターでは速くは弾けないのですが・・・世の中には信じられないくらいのスピードで弾く人が居て・・・困ったもんですね~・・・スピード違反ですよ・・・。
このHPに掲載しているガットギターソロを、歩きながら良く聴いています。ヒビリ音があったりリズムがあやふやだったり、もちろんマイナス部分は沢山あるのですが、何となくすんなりと聴けています。自分の演奏に満足しているというのでは全くありませんが、このアドリブソロのフレーズは今度やっても出てこないだろうなぁとか、このノーリズムの部分は感じ良いなぁとか、プラス部分も感じています。
もう70才近いので上手く見せてやろうなんて気はさらさら無く、自分なりの味が出せれば・・・Big Bandフェスティバルが終わってからもう2週間もギターに触っていないのですが・・・やっとまた弾こうかという気分になってきました。
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