gt0032 保育士資格の音楽の試験(July 4, 2005)
私の家内は保育士の資格を持っており、現在はその資格を生かした仕事をしています。その影響からか、3人の娘は学生時代の専攻とは関係なく何となくその方面に興味があるらしく、それぞれ独学で保育士の勉強をしています。
現在夫の仕事の関係で米国に在住している次女は既に資格をとりました。夫の転職で愛知県豊田市に引っ越した長女と、唯一日立市在住の三女は現在保育士の国家試験を受けるべくそれぞれ勉強中のようです。
音楽について教えて貰いたいからと、日曜日の夜三女が家にやってきました。保育士のテキストの試験問題がさっぱり分らないということです。
私の専門(?)分野ですから、どれどれとざっと問題を見渡しました。減五度とか増四度とかかなり音楽をやっているつもりの私でもめったに目にしない日本語の単語が羅列されています。
試験のための試験問題という感じですが、ともあれまず基本としてまず次の順に説明をしました。
- ハ長調の「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」の音名(絶対音)は日本語では、「ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロ、ハ」である。これは大抵の人が知っています。
- この音名(絶対音)を英語表記すれば、「C,D,E,F,G,A,B,C」である。コード(和音)名を知らない人にとっては、これだけでも目から鱗です。
- 主音「ド」の音を基準にすると、「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」の各音の主音との高低差は、「1度、2度、3度、4度、5度、6度、7度、8度」である。
- コード(和音)は基本的に「ド、ミ、ソ」の3個の音で構成されている。
- 例えば「C」の音を「ド」とするコード(和音)を考えると、「C」はCメジャーで構成音は「ド、ミ、ソ」、「Cm」はCマイナーで構成音は3度の音を半音下げた「ド、bミ、ソ」である。
- 数字を添え字として付けて追加の音を示すことができる。例えば「C6」は6度の音、即ち「ラ」の音を追加した「ド、ミ、ソ、ラ」で構成される。7度の音だけは、例外的に半音下げた音を示す。例えば「C7」は「ド、ミ、ソ、bシ」で構成される。
- 長三度、短三度、完全四度、増五度・・・・
ああ、面倒くさ・・・。
問題の日本語表現の単語を英語表現してどんな問題かを理解し、答えの英語表現を日本語表現に翻訳して娘に伝える・・・!! 本当に面倒くさ・・・!!
例えば「C7-5」というコードはどういう風に日本語表記されるの??
クラシックの音楽は良く知らないのですが、音楽教育では未だに日本語表現を使っているのでしょうか?「ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロ、ハ」は日本人にしか分りませんが、「C,D,E,F,G,A,B,C」なら全世界共通語です。「この曲の調子は嬰ヘ短調です。」では日本人でも良く分りませんが、「この曲のキーはFシャープマイナーです。」と言えば少し楽器をかじった人なら国籍に関わらず分るはずです。
はからずも日本人が英語ができない理由の一つがここにもありました。「伝えたい動作を日本語で表現し、それを英語に翻訳する」「英文を日本文に翻訳し、翻訳した日本文によってその動作を理解する」ことを続ける限り日本人の英会話の上達は望めないでしょう。
英語と日本語とは語順が違うというようなこともありますが、外国籍のお相撲さんがあんなに流暢に難しい日本語を話せるのはどうしてなのでしょうか?
別に日本の英語教育のことまで言及する気はなかったのですが、右脳を使う芸術の一つである音楽の試験に、左脳を使う問題を出すのは何か違うのではと感じた次第です。
音楽嫌いにならないよう、たまには理論くそくらえでがむしゃらにギターをかき鳴らしましょう。
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