bg0065 ジョージ大塚のパラドックス(September 8, 2008)
プロミュージシャンのHPで「ジョージ大塚のパラドックス」という妙な言葉を見つけました。
1.「練習で覚えたことを本番で披露」というのはダメ。
2. 従ってジャズは(本質的に)練習できない。
3. 「俺」はいつも練習を欠かさない。
ジャズは即興演奏(アドリブ)が生命ですが、実際には思いついたことをでたらめに演奏するのではなく、こ難しい理論に基づいています。幼児が単語を少しづつ覚え始めて次第にしゃべれるようになるのと同じように、リックという短いフレーズを沢山覚え、それらを繋げてアドリブ演奏すると良いと言われています。必然的に色々な状況で適用できるリックの引き出しを沢山持っているほど、自由なアドリブ演奏ができることになります。
最近は教材が揃っていることもあるのか、似たような演奏をする新人ミュージシャンが多いということも聞きます。覚えたフレーズをそのまま繋げたのでは本当のアドリブソロではないのですね。アマチュアの場合は、譜面に書かれた音符を見ながらアドリブソロをするということも普通にやっていますが、これは論外としても。
アドリブ(即興演奏)を練習するという矛盾に気がつき、他のジャンルに転向したプロミュージシャンも居ます。
やっぱり、「ありのまま・思いのまま・感じるまま」の感性で演奏するのが本当でしょう。感性は本質的に練習ではなく、日常生活の中で色々な分野の本物に接しているうちに自然と身に付くものでしょうし、ある程度は生まれつきかも。
感性だけで楽器を演奏することは不可能で、演奏技術を磨くための練習は欠かせません。ただし技術に長けると、キャンバスに隙間なく色を塗りたくるように、音で埋め尽くす演奏になりがちなので要注意ですね。
何もない空間を残すのはすごく不安ですが、これができれば日本画のような芸術的な演奏ができるのかも。
練習してはダメ、練習しなくてもダメ。う~ん、この禅問答は奥が深いようです。
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